「経費になるから買う」はお得?節税しても手元のお金が減る理由
「経費で落ちるなら買っておこうかな」と思ったことはありませんか?
仕事で使うものなら、必要経費になる場合はあります。でも、経費になることと、タダになることは別です。ここをごちゃ混ぜにすると、節税したはずなのにお金が残らない、ということになってしまいます。
今回は、副業や個人事業で買い物をするときの考え方を、1万円の例で整理してみます。

1万円の経費で、1万円の税金が減るわけではない
仮に、1万円の支出がその年の必要経費として全額認められ、その部分にかかる税率を所得税・住民税あわせて20%としてみます。実際の税率ではなく、仕組みを理解するための単純化した例です。
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 買い物で出ていくお金 | 10,000円 |
| 減る税金の概算 | 2,000円 |
| 差し引きで減る手元のお金 | 8,000円 |
税金が2,000円少なくなっても、支払いは1万円です。何も買わない場合と比べれば、手元のお金は8,000円減ります。
この例では、課税される所得が十分にあり、税率が変わらないと仮定しています。社会保険料や消費税などは含めていません。赤字の場合や控除の状況などによっては、想定どおりの税負担軽減にならないこともあります。
必要な買い物まで我慢する、という話ではありません
例えば、今まで2時間かかっていた作業を30分にできるツール。あるいは、仕事を引き受けるために必要な機材。こうした買い物には、税金以外の価値がありますよね!
考えたいのは、税金が減らなくても、その買い物をするかです。仕事の質が上がる、時間が空く、売上につながる。その理由があるなら、費用をかける意味があります。
反対に、「今年は利益が出たから、とりあえず何か買う」だと、使わない物だけ増えてしまうかもしれません。
「仕事にも使える」と「全額経費」は別
パソコンやスマホ、家の通信費などは、仕事と私生活の両方で使うことがあります。仕事でも使うからといって、何でも全額を経費にできるわけではありません。
私生活の支出は必要経費にはならず、共用の支出は、仕事に必要な部分を明確に区分できることが大切です。「半分くらいかな」と先に割合を決めるより、使い方や記録から説明できる割合を考えましょう。
また、物によっては購入年に全額を経費にせず、減価償却などで複数年に分ける取扱いもあります。年末にお金を払えば、その年の経費になるとは限りません。基本的な考え方は国税庁「必要経費の知識」を確認してください。
買う前に、この3つを書いてみよう
- 何に使う?具体的な仕事と、今困っていることを書く。
- 何が変わる?毎月何時間減るのか、どの仕事ができるようになるのかを考える。
- いつ払う?税金や生活費を確保したうえで払えるか確認する。
例えば月3,000円のツールなら、年3万6,000円です。月に2時間減らせるとして、その2時間をどう使えるか。無料版や今ある道具でも対応できないか。ここまで考えてから選ぶと、値引きや「経費になる」の一言に引っ張られにくくなります。
自分の時間をどう考えるかは、1円安いスーパーへ30分かけて行くべきか、という記事でも書いています。
買った後は、仕事に使う理由も残しておく
レシートを保存して終わりではなく、何の仕事に使ったか、誰との打合せだったかなど、後で分からなくなりそうなことはその場でメモしておきましょう。
紙の領収書の整理が苦手な方は、領収書の保管方法の記事もどうぞ。電子で受け取った請求書などは、紙とは別に電子取引データの保存ルールを確認してください。
経費をきちんと集計することは大切です。ただ、経費を増やすこと自体を目的にすると、お金は減ってしまいます。まず仕事に必要か。そのうえで、正しく経費にする。この順番で考えたいですね。
制度・資料の確認日:2026年10月21日。税金は収入や働き方などによって取扱いが変わります。
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