税理士が教える!開業の届出4点セット

2022年12月12日独立

個人事業主として独立するためには、税務署への開業届を提出する必要があります。

開業届以外にも開業届と同じタイミングで提出しておくと良い届出が3つあります。

開業届を含む4点セットについてお伝えしたいと思います。

個人事業の開業届出書

独立して個人事業主としてやっていくためには必須の書類です。
青色申告の申請のためにも提出する必要があります。

国税庁のフォームでも良いですし、freeeやマネーフォワード等のクラウド系会計ソフトが提供しているものもあるので、そちらを活用しても良いでしょう。

【参考記事】
税理士が教える!開業届の書き方

こちらに開業届の書き方をまとめているので、作成する際に参考にしてください。
全ての項目に記載する必要はなく、必要なところだけ記載すれば良いです。

【国税庁】個人事業の開業・廃業等届出書

所得税の青色申告承認申請書

開業届と合わせて提出することにより10万円・55万円・65万円の特別控除が受けられます。
青色申告の承認を受けない場合は、何の控除もない白色申告となります。

独立してまともにやっていこうと考えている人にとっては、白色申告のメリットは基本的にありませんので、忘れずに青色申告承認申請書も提出しましょう。

青色申告のメリットは以下の通りです。
・特別控除(10万円・55万円・65万円のいずれか)
・青色事業専従者給与
・赤字を3年間繰り越して、利益と相殺できる
・年間合計300万円まで、30万円未満の減価償却資産が一括で経費にできる

特別控除は簡易的な簿記で収支表のみを作る場合等は10万円、複式簿記できちんと帳簿(貸借対照表・損益計算書)や申告書を作成する場合は55万円、その帳簿や申告書をe-Tax等で電子申告を行う場合は65万円となっています。

青色事業専従者給与は、年間6ヶ月以上専ら従事している15歳以上の同一生計の親族に対する給与が、事業上の経費として認められる制度です。
家族経営の事業をやっている場合は、高い節税効果が見込まれます。

赤字の繰り越しについては、一般的に独立してすぐは売上が安定せず、開業時の備品等の経費が嵩んで赤字になることがあります。
事業が安定し黒字になった時に、3年以内に発生した赤字を黒字と相殺して、税額を抑えることができます。

1年以上使用可能で10万円以上のものについては、基本的に固定資産として税務上は法定耐用年数(国税庁HP)で減価償却する(数年に渡って経費化していく)のですが、30万円未満のものについて年間合計300万円までは一括で経費にすることができます。

このように青色申告によるメリットは非常に大きいため、青色申告承認申請書は提出すべきです。

青色申告の申請を出さなければ自動的に白色申告になります。
青色申告の申請を出したくない特別の事情がない限り、青色申告を申請するようにしましょう。

【国税庁】所得税の青色申告承認申請書

給与支払事務所等の開設届出書

開業後すぐに親族や従業員を雇用して、給与を支払う場合に提出する必要がある書類です。

独立してひとりでやっていく場合は提出の必要はないのですが、今後雇用する可能性があるかもしれませんので、開業届・青色申告の申請書と一緒に出しておくと忘れることがありません。

この届出を出しているにもかかわらず給与を支払っていないからと言って、特に罰則等があるわけではありませんので最初のタイミングで出しておきましょう。

【国税庁】給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

給与を支払う場合、源泉所得税を徴収して、給与を支払う側が代わりに納税する必要があります。

独立する前にサラリーマンとして勤務していた時に、社会保険料と税金を引かれていたと思います。
その税金が、給与から徴収されていた源泉所得税です。

その源泉所得税について、給与を支払う側が従業員の毎月の給与から徴収し、基本的に毎月納付しなければいけません。
しかしながら、この申請書を提出しておくと、給与等を支払う対象が常時10人未満である場合、年に2回まとめて納付すれば良くなります。
毎月だと年に12回ですが、この申請書によって年に2回と大きく回数を減らすことができ、事務手続の負担を軽減することができます。

源泉所得税については、従業員等に対する給与だけでなく、個人の(弁護士法人や税理士法人でない)弁護士や税理士等に対する報酬を支払う際も、支払う側が徴収することになっています。

ですので給与を支払う予定がないとしても、この申請書については提出しておいた方が良いでしょう。

【国税庁】源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書




開業の届出4点セットについては、税理士に依頼して作成・提出してもらうこともできます。
しかしながら、税理士に依頼した場合は費用が発生したり、無料であってもその後の契約を条件とされたりすることが多いです。
依頼する税理士が決まっている場合は良いかもしれませんが、税理士が決まっていない、そもそも税理士に依頼する必要がない場合もあると思います。
ぜひ自分で作成して提出するようにしましょう!
作成・提出の際は2部ずつ作成して、控えを持っておくようにしましょう。