公認会計士が税理士業務で独立する際に、修行期間を経るべきか

2022年12月12日公認会計士

会計士税理士として独立する公認会計士は多いです。

多くの公認会計士は監査法人で会計士業の経験を積んでいると思いますが、税理士事務所経験者等でなければ税務実務の経験はありません。

公認会計士が独立して税理士業をやっていく上で、独立前に税理士事務所等で修行すべきかについて個人的な見解を書きました。

独立前に税理士事務所等で修行すべき!

個人的には、公認会計士が独立して税理士業をやっていく上で、独立前に税理士事務所等で修行すべきと考えています。
私自身もそうしましたし、そのことについての後悔はありません。
もちろん修行せずにいきなり独立して税理士業をやっていくことを否定するわけでもないですし、実際にそうやって独立している先輩会計士もたくさんいます。

ではなぜ私は独立前に修行すべきと考えているのか。
それはやったことがない仕事で独立することに抵抗があったためです。

税理士がどのような仕事をするかについては会計士なのである程度はわかりました。
でも実際に自分でやったことはない。

自分がやっとことがない仕事でクライアントに報酬を請求することに違和感がありました。
相場はインターネットで調べればわかるのでしょうが、報酬の対価となるサービスをきちんと提供できるか。
正直監査法人を辞める時点では自信がありませんでした。
やったことがないから。

独立したら当然、自分で仕事を取ってこなしていかなければなりません。
やったことがない仕事でそこまでのモチベーションを持てるかどうかがわかりませんでした。
要は続けていけるかがわからなかったのです。
経済的な面ももちろんですが、自分のモチベーション、精神的な面で飽きずに続けられるかがわかりませんでした。

監査法人を辞めたのも、監査がつまらない、ずっとこの仕事をやるのはツラいといった理由でしたので、税理士業についても、面白くない、作業ばかりでやりたくない、と思ってしまう可能性がありました。

なのでまずは税理士法人に勤めてみて、そこで税理士業務をやってみて、独立するしないは関係なくとりあえず続けられるかどうか判断しようと思いました。
正直、監査法人を辞める(税理士法人に転職した)時は、独立するなんて微塵も考えていませんでした。

リスクヘッジのためにも最低1年は修行すべき

会計士であれば決算業務や申告書の作成はすぐにできるようになると思います。

どちらも会計ソフト・税務申告ソフトを利用して行いますが、ITに関しては監査法人経験者であれば特に苦手意識はないと思いますので、少し触ったらすぐ使えるようになります。

基本的に同族企業で、利害関係者もせいぜい金融機関ぐらいしかおらず、税務会計で決算書を作成している中小企業にとっては、引当金や税効果会計といった会計的論点もほとんどありません。
税務の論点についても、試験で勉強した内容でほとんどカバーすることができます。

それでも修行すべきと考えるのは、届出や年末調整、償却資産申告等、会計士はあまり知らないが税理士業では当たり前の業務があるためです。

特に届出、その中でも消費税関連の届出については、クライアントからの損害賠償請求の事案になっているものも多く、知らなかったでは済まされない論点も多いです。

簡易課税や特定新規設立法人、2023年からはインボイスもあります。

とりあえず1年間でも税理士事務所の仕事というのを経験してみると、業務の流れであったり、税理士事務所特有のリスクについて把握することができると思います。
税理士事務所特有のアナログな面や、無駄と感じることも見れるでしょう。

事務所によっては独立を支援しているところもある

税理士事務所によっては、求人の段階から「独立支援」と記載しており、数年で辞めて独立していくことを悪と思わずに、むしろ支援してくれるというところもあります。

支援の内容についてはわかりませんが、おそらく独立の際にクライアントを引き継げるのではないでしょうか。
そこに対価は発生するかもしれませんが、多くの人は独立時は人脈が乏しく、クライアントの見込みがないでしょうから、対価を払ってでもクライアントがあるのは良いことかもしれません。

その対価については相談して良いと思いますが。

逆に独立支援と表立って書いていない場合は、最初から独立するためであったとしても、そのことは言わずに転職活動をした方が内定はもらいやすいと思います。
最初から独立します=短期間で辞めるので、採用する側からするとあまり短期間のスタッフは雇いたくないでしょうから。
まぁ有資格者という時点でこちらから何も言わなくても、独立するんだろうなと敬遠されてしまっているかもしれませんが。

監査法人出身の会計士であれば、先輩・OBの事務所で修行させてもらうというのも割と行われています。
その場合は独立の意思等について変に嘘をつく必要もないですね。



自分が税理士業で独立してやっていけるかを十分に考える期間を設ける意味でも、一旦税理士事務所等で修行してみることをお勧めします!