税理士事務所の効率化【制度編】
多くの税理士事務所はアナログで非効率的な仕事の仕方をしています。
世代で言うと高齢者と呼ばれる世代の税理士も多く、ITに疎い・変える努力をしない人たちも多いです。
税理士事務所に限らず組織にとって最も非効率とも言えることは、短期間でスタッフが入れ替わること。
採用したスタッフがすぐに辞めてしまうと、せっかく引き継ぎしたにも関わらずまた引き継ぎをする羽目になります。
クライアントも「また担当者変わるの?」とあまり良く思いません。
信頼できる人と長く続けられる方がお客様目線では良いに決まっています。
税理士事務所であまり人が辞めないようにするためにはどうすべきか。
制度的な面で効率化を提案したいと思います。
リモートワーク(在宅勤務)の導入
働き方改革やコロナもある意味追い風になり、近年急速に普及したリモートワーク。
税理士事務所で導入しているところは少ないです。
なぜ少ないのか?
税理士事務所の業務はリモートワークに向いていないのか?
いいえ、そんなことありません。
むしろほとんどの業務がリモートワークで可能です。
多くの事務所では出来ないからやらないのではなく、頭のカタイ所長税理士が在宅はサボる奴がいる、なんて考えているので進まないのです。
サボらないようにする仕組みなんていくらでもありますから。
スタッフの立場からすると、サボりたいから在宅勤務したいわけじゃないんです。
通勤時間を削減できる、通勤のストレスから解放されることに大きな意味があるのです。
会社としても交通費削減ができますし、そもそも出勤がないのであれば事務所の立地が良い必要もなく、広い執務スペースもいらないので、家賃の安いところに移転することで家賃削減という大きなコストカットも可能になります。
事務所に来てもらって働いてもらうスタイルでは、この先更なる人材難に直面すると思います。
リモートワークを導入している事務所にどんどん人が流れていくでしょう。
考え方を変えて、とりあえずやってみて、それから改善していくことも必要です。
フレックスタイム制の導入
税理士事務所の仕事は一般的に繁忙期とそうでない時期が明確に分かれています。
一般的には12月頃〜年末調整や償却資産申告等、1月〜3月個人の確定申告、4月〜5月に3月末決算法人の申告と、約半年の繁忙期があります。
それ以外の時期は、法人の決算期にもよりますが、12月〜5月ほどは忙しくないことが多いです。
1年の中でも繁忙期とそうでない時期が分かれているのですが、実は月の中でも同様のことがあります。
月初は割と時間にゆとりがあり、申告期限が迫る月末は忙しくなる傾向にあります。
始業時間と就業時間が決まっている通常の事務所であれば、月初暇なのに就業時間は事務所にいる必要があり、月末は残業してでも期限に間に合わせるべく申告書を仕上げます。
フレックスタイム制を導入してしまえば、事務所にとってもスタッフにとってもWin-Winではないでしょうか。
事務所としては残業代をカットすることができます。
スタッフとしては、月初の暇な時には自分の時間を多くもらって、月末は月初働いていない分頑張って働きます。
なぜやらないのか?
アナログな事務所では勤怠管理・給与計算の手間が増大するからと言うでしょう。
一つシステムを入れてしまえば良いのです。
勤怠管理・給与計算を一括してできるシステムがあります。
残業代よりも低い金額で導入できるところも多いのではないでしょうか。
IT企業やベンチャーでなくてもフレックスタイム制は導入可能です。
税理士事務所では労使共にWin-WInです。
無駄なミーティングの廃止
税理士事務所では無駄なミーティングが多いです。
所長税理士だけが喋る、所長税理士と特定のスタッフだけが喋る、そんなミーティングは不要です。
前者は所信表明のような形で必要なケースもあるでしょう。
必要なら動画に撮ってみんなに見てもらえば良いのです。
後者は個別に打ち合わせすれば良いのです。
税理士は一般的な社会人経験がある人は少ないです。
税理士事務所という極めて狭い世界でしか働いたことがない人が多いからです。
そんな税理士が運営する事務所なんて、一般の会社の常識からは外れたことも多いです。
無駄なミーティングの多さもそれです。
何(誰)のためのミーティングなのか、ミーティングで何を決めるのか、そんなことも意識せずに何となくミーティングが行われています。
会社ごっこが好きな所長税理士はたくさんいます(笑)
自分のエゴのために、スタッフを巻き込むのはやめましょう。
時間もお金も無駄です。
報酬連動型給与の導入
税理士事務所に勤務している人で、クライアントは増えたのに給与に反映されないという人は多いのではないでしょうか。
新規獲得ということで賞与や臨時の給与として一定額が支給されることはあっても、基本給等が上がることはないのではないでしょうか。
一度契約していただけると、解約されるまではずっと続く顧問報酬なのに、その仕事を担当する自分の給与は上がらないなんて、会社の取り分が増えただけで自身の負担は増えるだけなので、新規クライアント獲得のモチベーションは上がらないですよね。
もちろん解約リスクはあるため、基本給等を上げてしまうと簡単に下げることが難しいというのもわかりますが、外資系企業のように完全歩合制の給与にするのもありだと思いますし、一部報酬連動といった給与制度もありだと思います。
頑張っても自分に返ってこない仕事に対してはやる気も出ません。
そんな仕組みの会社でずっと頑張ろうと思えますか?
頑張ってくれた分には相応に見合うものを提供すべきです!
退職金制度の導入
中小企業では退職金がない会社が多いです。
税理士事務所も例に漏れません。
少なくても良いんです。
退職金があると、些細なことではスタッフが辞めなくなるかもしれません。
退職金がないと、「どうせ退職金もないし」と辞めてしまいます。
例えば5年以上勤めた者には退職金を支給すると定めるのであれば、2〜3年で辞めていった人たちが5年以上勤務してくれるようになるかもしれません。
事務所固有の退職金制度でなくても、企業版のDC(確定拠出年金)でも良いと思います。
税理士事務所というものは、基本的に所長税理士が搾取するビジネスモデルのところが多いですので、スタッフ目線での制度設計になっていません。
ですがこれからの時代、そんな事務所には人が集まらなくなるでしょう。
スタッフを雇って事務所を発展させていきたいのであれば、ぜひスタッフ目線で、スタッフが働きやすい事務所作りをしていって欲しいものです。