【公認会計士試験受験生向け】監査法人のデメリット

公認会計士試験

公認会計士試験合格後は監査法人に入るんだ!そう思っている受験生は多いと思います。

実際に私が受験生の時も、「監査をやったことがないのに公認会計士っていうのも」といった声もあり、私自身も試験合格後は監査法人に進みました。

試験合格後は可能であればぜひ監査法人に進むことをお勧めしますが、監査法人のデメリットについてもお伝えしておきたいと思います。

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監査業務はつまらない

監査業務がつまらない

これは監査法人最大のデメリットです。

なぜならば監査法人での仕事の多くが監査業務であるからです。

アドバイザリーやIPOコンサル等監査以外の業務もありますが、基本は監査なのです。

間違い探しのように、あらかじめどこかに間違いが含まれています。
頑張ってそれを探してください。
というのであればまだ頑張れるかもしれません。
頑張って色々調べても誤りがあるかどうかはわからないのです。

仮に誤りを見つけたとしても、重要性がないということで修正には至らないケースも多々あります。

じゃあ自分が今までやってきたことって何だったのか?と思わずにはいられませんでした。

もちろん、重要性はリスクアプローチ監査において非常に重要な考え方です。
重要性がなければ修正の必要はないでしょう。
しかしながら、せっかく誤りを見つけて伝えたとしても「重要性がないので修正しません」とキッパリ言われてしまうと、どうしてもモチベーションが低下せざるを得ませんでした。
クライアント側も重要性で切れることを知っているのです。

年次が低いうちは、現預金や借入金等、リスクが低い科目を割り当てられることが多く、そもそも誤りが発見されることが少ないです。
調書作成についても、前期までやっていなかった手続きをやったとしても、結論としては変わらないことがほとんどで、ましてや監査意見に影響を与えることなんて滅多にありません。

監査をやる場所なのですが、その監査業務があまりにもつまらないのです。

優秀な人材が多く競争が激しい

監査法人で働いている人は、総務や経理等を除きほぼ全員公認会計士試験合格者です。
厳しい試験を勝ち抜いた猛者しかいないのです。

東大卒や京大卒といったとんでもなく地頭も要領も良い人たちも珍しくないです。

出世していくためには、そんな優秀な人材の中で自分が他よりも秀でている必要があります。

仕事のクオリティはもちろんですし、コミュニケーション能力も必要です。
近年ではTOEICのスコア等、英語能力も必須になっています。

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シニアスタッフには修了考査に合格しさえすれば上がれますが、その上のマネージャー以上になると全員が全員なれるわけではありません。
同期の中で差が出てきます。
そして先輩・後輩との上下関係が逆転していくこともあります。

出世を望むのであれば、厳しい試験を突破したその先にもさらに厳しい競争が待っています。

監査業務にやりがいが感じられない

監査業務はつまらない上にやりがいも感じられませんでした。

監査は誰のためにやっているのでしょうか?

クライアントのためでしょうか。
財務諸表をチェックしてもらっているので、クライアントのためだとは思います。
ですが、そのクライアントは監査を望んでやってもらっているでしょうか。
数千万〜数億単位のお金を払ってまでお願いしたいのでしょうか。
いいえ、法律で決まっているからに過ぎません。

自分のためでしょうか。
それによって対価を得ているという意味では自分のためかもしれません。
ですがお金のためと割り切れている人でなければ、それだけで頑張ることは難しいと思います。

監査はクライアントのためでもなく、自分のためでもなく、世の投資家や利害関係者のためのものです。
これも法律で決まっているからです。
ですが、その投資家や利害関係者は「監査してくれてありがとう」なんて思ってくれていません。

適正な財務諸表というのが当たり前だからです。

わざわざ適正意見の監査報告書がついていることについて感謝する人はいません。

別に誰かから感謝してもらいたくてやっている仕事ではありませんが、仕事がつまらない上に、誰からも感謝されないというのは、私にとってはその仕事を続けることがあまりにも寂しく感じました。

リモートメインのため人が育ちにくい

私が監査法人に居た時代はリモートなんて、海外子会社やその現地監査チームとのWebミーティングぐらいでした。
しかし、コロナの影響や働き方改革により、現在の監査法人ではリモートワークがメインになっています。

リモートワークについては個人的には肯定的です。
しかしながら、リモートメインでは上も下も育ちにくいというのはあると思います。

下のスタッフは、上の人の仕事のやり方を見て学ぶことができます。
その人が仕事ができる人であれば、その人の真似をすれば良いですし、逆にできない人であれば、自分はどうすれば仕事ができるようになるのかを考えると思います。

上の人は、下のスタッフから頼られたり、下のスタッフから見られたりすることで成長することができます。
自分も曖昧な論点について相談された時は、知識不足を反省し一緒に勉強することができます。
「教える」というスキルも、実際に「教える」ことで身につき伸びていきます。

これはやはり対面では培われやすいですが、リモートメインではそもそも人間関係も希薄ですし、必然的にコミュニケーションの機会も少なくなっています。
そのような状態では質問や相談も気軽にはしづらく、上も下も育ちにくいのです。

とりあえず監査法人に進もう!

監査法人のデメリットを挙げましたが、それでも個人的には公認会計士の最初のキャリアとしては監査法人をお勧めします。

デメリット補ってもなおメリットの方が大きいからです。

とりあえず監査法人に進んで、そこで学べるだけのことをまず学びましょう。

その後については、監査法人内で上を目指すのも良いですし、転職、独立も全然ありだと思います。
むしろ転職・独立組の方が多いですので、監査法人を去ることについて何ら自分を責める必要はありません。

監査業務以外の業務であっても、専門家として社会に貢献することができれば、それで公認会計士の使命を果たすことができます!

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